『松苗あけみの少女まんが道』(ぶんか社)

 すでにいろんな人が話題にしている『松苗あけみの少女まんが道』(ぶんか社)。

 https://www.bunkasha.co.jp/book/b512202.html

  

    

  ツイートまとめ+αです*1

  

 私は「木馬館」はリアルタイムでは買っていませんが、同人誌紹介により視界には入っていて「松苗さんがいたところ」くらいの認識。表紙絵まとめ本を含め、オフセットの分はかつては古本で時々見る本でした(ゼロ代初頭くらいまで?)。それだけ部数も多かったのではないかと思います。

(青ヤキ時代に内田さんや大島さんがゲスト原稿を寄せていたということはだいぶ後になって知る。)
我孫子三和さんや美村あきのさんがいらしたことはこの本を読むまで知らなかった。)


 正直、ここのサークル、松苗さん以外の人は知らない人だなーと思っていた(すいません)のですが、今回の本を読んでどういうメンバーだったのかわかりました。スクランブル残党」なのでその前に「スクランブル」というサークルがあったのではと思っていたけれど、そういうことはなかったみたい。

 

※この件、まちがっておりましたので次の記事にて訂正いたしました。

 

(私が調べもせずその程度のゆるさで眺めていたということです。)

  

  • 「りぼん」

 私(懐漫大学少女まんが学部)にとってはp.6~7が最高の見所でした。

 p.6に「りぼん」が描かれています。1964年1月号でほぼ確定と思います。
 この号、検索すれば表紙画像が出てくるんですが、実際にはもっと人物が大きいのです。松苗さんの描いたものは、すこしひいた、小顔になったものです。当時と今の美意識のちがいが端的に表れているような。

 当時の「りぼん」の連載の大半は現代日本が舞台のもので、別に「ロマンチックな世界」が多い訳ではない。けれどもp.7では「女のコの好むようなロマンチックな世界は『りぼん』の中だけ……」というネームが。
 当時の連載から「松苗好み」として「りぼんのワルツ」(バレエもの)、「王女ミナ子」(ドレスいっぱい)が選ばれるのは松苗さんの絵を見ているとわかるような気がしてくる部分です。

 「なかよし」も購読されていた(p.8)のに「りぼん」がここで強調されているのは、集英社への心づかいもあるとは思いますが、それ以上に「りぼん」がイケイケの時代だったからと思います。このころの「りぼん」は横山光輝「ちびっこ天使」、赤塚不二夫ひみつのアッコちゃん」、今村洋子「チャコちゃんの日記」と他の連載も豪華でした。

  

 初アシは「こいきな奴ら」とのことです。
 『松苗あけみの少女まんが道』p.32ですと「ベッドとシーツ」とあり。
 『マンガ家よゐよゐ』(なかはら★ももた/講談社)の松苗さんゲスト回(第8夜)によると「ゴージャス枕!」とあります。

 この「ベッドとシーツ」「ゴージャス枕」は「こいきな奴ら ACT3 危険がいっぱい」のクリームがジュディス(兄)に起こされるシーンと思われます(電子版で確認。RMC単行本2巻80コマ目)。初出は「りぼん」1976年2月号ふろく。*2

 サラッとではありますが、「マンガ家よゐよゐ」でもデビュー前後のことを語られていて「再構成したもの」「本人語り」を比べてみると、どこを見せ場ととらえていたのか(取材時に本人が強調されたのかもしれない)垣間見ることができます。カラーを塗る時にマスキングしないというびっくり情報も。併読されると楽しいと思います。

 

 なお、小西さんがツイッターで松苗表紙のサンプルとしてあげられた「ぶ~け」1991年4月号は、なかはらさんのデビュー号。*3「マンガ家よゐよゐ」にも登場します。

https://twitter.com/torikotori/status/1271800395837222913

 

 このイラストは、『ロマンスの王国』1巻表紙絵として部分的に再利用されています。

  

 

 

ロマンスの王国(1)

ロマンスの王国(1)

 

 

 

マンガ家よゐよゐ

マンガ家よゐよゐ

 

 

    

  • その他雑感

 「ぶ~け」の3名の画集は内田さんにも声がけがあったのにややおどろき。中堅作家のための企画だと思っていたので。うっかりしたらあのサイン会のならびに内田さんも入っていたのかー。

 

 「●JANTA」の九段時代の雄姿が1コマ見られます(p.75)。たぶん記憶で描かれたものと思われます。<カレークラスタむけ情報

 

  • ツイート紹介

 

https://twitter.com/nmisaki/status/1272376087654227969

 

 

 


*1:https://twitter.com/mtblanc_a/status/1272400065995264000 のスレッド。

*2:2月号ということは、1月3日発売(今は年内発売)=年末進行の号ではないだろうか。

*3:当時、おふたりとも「Kiss」でお仕事されていた以外にも、なかはらさんのデビュー作の審査を松苗さんがされているというご縁も。

鳥獣戯画の公開時間

 トーハクの特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」の情報がオープンになりました。
 全四巻の全場面を一挙公開というおそろしい企画です。
 


 
 表さんのこのツイートから始まるスレッドも見てください。
 
 

 この情報で気になるのは「こんなことして大丈夫なのか?」というところです。鳥獣戯画は補修もされていて、割としっかりしたものです。人気もあります。なので実物が出てくる機会も多い。
 と、いっても数百年前のものですから、1年あたりの公開時間は決まっている。
 
 今回の発表で誰もが思い出したのは2014年~2016年にかけての巡回展での全巻公開でしょう(以後「5年前の展示」はこの3つの年度の展示をさすことにします)。
 

 
2014年~2016年
特別展「修理完成記念 国宝 鳥獣戯画高山寺
https://www.kyohaku.go.jp/jp/special/koremade/exhibition20141007.html
特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1707
特別展「京都 高山寺明恵上人 - 特別公開 鳥獣戯画 - 」
https://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s45.html
 

 
 
 この時は、税金を投入しての補修が完了したということで国民に全巻見せる理由があった訳です。
 また、京都、東京、九州の巡回展を年度にまたがって企画することで1年あたりの公開時間もクリアさせたものと思われます。
 
 この展示では会期は前半後半にわかれており、会期中四巻すべて置かれていましたが、前半と後半で巻き替えをして見せる場面を変えています。各期だいたい150~200時間に収められています。
 

 
2014年京都  前半=204 時間  後半=161 時間  全期=365 時間
2015年東京  前半=152 時間  後半=153 時間  全期=305 時間
2016年九州  前半=195 時間  後半=135 時間  全期=330 時間
  

 
 京都と東京は後半は開館時間を延長しています。それでも前期と公開時間が変わらなかったり、短かったりです。元から後半の公開時間が少ないから延長も可能だってと思われます。
 九州は現時点で残っている情報では延長は確認できませんでした。
 
 
 そして2020年のこちらの展示。
 

 
2020年
特別展 「国宝 鳥獣戯画のすべて」
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2009
 

 
 気になる公開時間は。
 

 
2020年東京  416時間
 

 
 5年前とくらべると閉館時間延長が多いです。
 2016年九州は会期が長くて、48日あります。休館日は3日。しかし、閉館時間が全日9時半から17時なのでトータルの時間は330時間となっています。2020年東京より時間はずっと少ない。
 もともと東京は時間が長い日があるとはいえなんでこんなに多いのか。
 5年前は金曜20時だったのが現在は金土21時に延長、土日祝18時だったのが日祝は17時に短縮と変化しています。日祝18時→17時があるとはいえ、金曜がプラス1時間、土曜がプラス3時間と1週間で考えると開館時間は増えています(祝日は除外して考えた場合)。
 
 トータル公開時間(=照明の照射される時間)は「和紙の本としてはこれでいいのかもしれないけど素人にあきらかにわかる範囲ではない」というというところ。全部一挙公開って見世物的にはおもしろいけどそれだけのような。
 5年前は全期で305~365時間、今回は416時間で若干の不安はおぼえますが、専門家が計算して万全の体制を敷くでしょうからいいのかもしれないという程度ではあります。
 蛇足ながら、5年前と同じ開館時間にした場合、2020年7月14日~8月30日の開館時間合計は50時間少なくなります(計算があっていれば)。366時間だと(巻き替えがあったとはいえ)5年前の全期とほぼ一緒で、なんとなく納得できる数字ではあります。

 これぐらいでいいんじゃないだろうか。
 
 
 入場者数にも目をむけてみます。

 「独立行政法人国立文化財機構年報」によると入場者数は下記のとおり。
https://www.nich.go.jp/kiko/nendo/
 

 
2014年京都 203,900人
2015年東京 239,115人
2016年九州 161,172人
 

 
 5年前の3回の展示でちょうど1000時間。入場者合計が604,187人。1時間あたり604人。最も入った東京で1時間あたり784人。
 
 2020年の展示は416時間です。1時間600人として24万人、700人として29万人。
 30万人さばく体制が必要ということになります。夏のさかりに30万人て本気なのかしら。と、思ってしまいまいすが、1時間700人以上さばける体制ができるであれば可能といえば可能なのです。トーハクは広いですから、できるのかもしれないです。
 とはいえ、オリンピック期間にピークがやってくるのは容易に想像できる訳で。いつもより多いと思われる多言語対応、混雑対応、そして列形成等々考えるとかなり労力というかコストがかかることは想像できます。もっと言えば、コストをかけたところで想定外の人数がやってきたら、柔軟に予定を変更しないといけない。それを判断できる人を毎日詰めさせないといけない。
 トーハクですからできないことはないでしょうが、終わるまで相当な緊張があることは想像にかたくありません。いろんな意味でもう少し余裕のある計画にできなかったのかというのが率直な感想です。
 
 
   
 ここまで見て気になったのが開館時間。遅くまであけてくれるのは便利ではありますが、ここまでしなきゃいけないんでしょうか。44日中、29日が8時間以上あけることになっています(11.5時間もしくは9.5時間)。
 そろそろ開館を10時とか11時とかにしていいのではないだろうか……。時間で区切ったチケット発売ってむずかしいのかしら。
 
 と、いうことで結論は
 
鳥獣戯画の労働時間(?)も気になりますが、スタッフさんの疲弊度合いが気になる

 です。
 
 
 
 以下、私のツイートと時間計算表。見たい方だけどうぞ。
 

続きを読む

私の冬支度(リストバンド)

 C96では、リストバンドの両面テープが汗でダメになるという事態が発生しました。対策もされているそうですし、C97は冬なので大丈夫そうと思いつつ、気になっていたグッズを購入。
 
 個人的には、一目で確認できるのであれば夏みたいに首からさげるでいいと思うのだけど「リストバンドは腕につけないといけない」がどこまで求められるかわからないので、腕につける方向で考えてみます。
 
 タワーレコードで売っている「タワレコ銀テープキーホルダー」(690円+税)です。私はリストバンド入れるやつという思い込みがあったため、「リストバンドのカバーみたいなのないですか?」と店員さんに尋ねて発見が遅れました(「わからないですけどグッズはあちらですねー」という案内をいただいて発見)。
 購入をされる方は、商品名はともかく「銀テープ」「キーホルダー」はおぼえておいたほうがよいと思います。
 
 こういう商品です。
 
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 パーツはこんなカンジ。
 
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 こうすると腕に巻けるようになっています。
 
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 テープを入れる部分はデフォルトでは20cmサイズ。別売があり、長さはカスタマイズできます。私は30cmのもの(200円+税)も購入しました。
 
 長さ比較。
 
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 20cmサイズの場合は、折り込んでから入れるようになります。
 30cmサイズだと冬服でも服の上から余裕ですが、ゆるゆる。Dカンつけたままにして、上腕部に安全ピンか。それか自分の腕のサイズにあわせて切って使うか。
 
f:id:mtblanc:20191214125154j:plain
 
 いずれにしても、想定外の着け方なのでスタッフさんがに確認された場合のことも考えつつやってみたいと思います。
 
 
(参考)夏は100均の防水ケースに入れてました(リスバンド全面が確認できるようにしています)。
 
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「初カキコ…ども…」の元ネタさがし

 かつてにちゃんを中心に流行したコピペ(テンプレ)はいくつもあります。
 そのうちのひとつ「初カキコ…ども…」が、今年の12月3日で10周年だそう。

 このつぶやきをしたのが発生したスレッドの135というのがポイントです。「初カキコ…ども…」の人が132です。7分後にコピペでないことを確認した方なのです。
 



 
 
 そうしたら、132さん本人と名乗るアカウントが登場。この書き込みに元ネタがあると発言。下記にまとめられた後、アカウントを削除されました。よって、真偽不明です。
 
 
togetter.com
 
 
 「りぼん」関連と知っていきなり興味がわく私です。かなり情報があるので(証言が本当なら)割と簡単にみつかるわーと思って、私もさっそく国会図書館へ。
 
 結論としてはみつかりませんでした。私以外にも動かれた方が同じ結果ですので、「少なくとも「星の瞳のシルエット」連載中の「りぼん」「りぼんオリジナル」には掲載されていない可能性が高いと考えられる」という状況です。
 もちろん全員が見落とした可能性というのもゼロではないです。
 また、それぞれ閲覧できない号があったり*1、利用停止などもあるので「ない」と断言はしません。
 
 参考に私を含めた動かれた方の状況をまとめてみます。
 

 

手持ちを見た方と記憶によるコメント

 



 
 

情報検索した方のコメント

 



 
 

国会図書館に行った方のコメントその1

 






 
 

国会図書館に行った方のコメントその2

 





 

国会図書館に行った方のブログ

 


m-kikuchi.hatenablog.com
 
 

ねとらぼの記事

 ねとらぼのライターさんが行かれたようで、記事になりました。


 
nlab.itmedia.co.jp
 
 

国会図書館に行った人のコメントその3(私)

 




 
 

*1:いっぺんに請求しすぎです。

「コマと線になぜ人はいまだに感動するのか?」行ってきた

 ざっくりです。自分語りです。トーク内容を知りたいとか客観的な感想をお求めの方などが求める内容はありません。
 
 
 国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima(IMART) https://mapdate.net/imart/トークイベント「コマと線になぜ人はいまだに感動するのか? マンガ表現論と、その先」へ行ってまいりました。登壇者は、夏目房之介さん、宮本大人さん、野田謙介さん、三輪健太朗さん。
 
 宮本大人さんと私はだいたい同じような年ごろだけどまんがについての文章(今の目で見て論なのか問題を避けている書き方)の触れ方がちがっていておもしろかった。こういうくくり話はしていないので、論に触れた話であって「まんがについての文章」だったらもっといろいろあるわーという可能性は高いですが。
 
 いろんな人に話しているけれど、私がはじめて読んだのは藤子不二雄『二人で少年漫画ばかり描いてきた』(文春文庫)、石森章太郎『レオナルド・ダ・ビンチになりたかった』(ポプラ社)です。小学生のころ。
 まんがはなかなか買ってもらえないが、文字の本なら割と買ってもらえるという家に育ったからです。
 
 中学生になると「ぱふ」を読むようになり、そこから過去の言説に触れていったカンジ。
 
 なので、呉智英さんの『現代マンガの全体像』(情報センター)、橋本治さん『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』(北宋社)あたりが中学生。すでに少女まんがにかたよった人生だったので、キンピラゴボウは夢中になって読みました。『現代マンガの全体像』は「うーーん、趣味あわないかも」しらいの感想(すいません)。図書館にあった『マンガ批評大系』を借りたのもこのころだけど、もう高校生になっています。知らないことが多すぎて、わかるとこだけ読みました。*1
 
 私は素直に『現代マンガの全体像』の読後に1970年代の言説へたどりついたと思っていたけれど、宮本さんは『現代マンガの全体像』を信じて1970年代の言説へたどりつくのが遅れたという(私の理解です)。1980年代の言説→1970年代の言説と順を追っているので(近くにサンプルもいないし)、自分のルートが「普通」と思っていたけれど、真逆だったのがおもしろいなーと思いました。単に私が『現代マンガの全体像』をまじめに読んでなかった可能性は高いですが。*2
 
 
 あと、トーク後、夏目さんはどう新しかったかというような話題になった時、「線の導入」というような話だったと思うのですが(雑音で半分くらいしか聞こえてないのでちがうかも)、私のここの理解はとても表層的で「夏目さんの新しかったところは、すでにライターなり、テレビなりで名を成した人がまんが批評をエンターテイメントとして提示したところ」だと思っています。
 
 論というかたちで表示されるかはともかく、線の話は夏目さんがしなくても誰かがいずれちがう形でも書いたのではないかという気がしており。
 野田さんにしても、三輪さんにしても、比較的容易にアクセスした夏目さんから入っています。「マンガ夜話」だったり、大出版社の文庫だったり。
 そういう活動を見て、野田さんや三輪さんのように論文書くところまでは行かないにしても。「あ、まんがの表現をこうやって見ていくのって楽しい」「まんがについて人としゃべったり、書いたりするのは楽しい」って思った人はたくさんいたはず。
 
 夏目さんが教育者として大学でまんがの論文の指導をしているのはとてもすばらしいことです。けれども、それ以前のエンターテイメントにのせて世に出した仕事を通して裾野を拡大させたことというのがそれよりも大きいと私は思っています。夏目さんは自分は教養もないしーみたいなことを言っておられましたが、夏目さんの仕事は教養の世界があることを前提にしたもので、そこから学問へたどりつく人がいた訳です。
 
 これが夏目さんにしかできなかったことなのではないかと思います。
 
 
 
 それにしても、野田さんがあげた夏目さんの文章。あの紹介はズルいし、夏目さんのコメントもツボを刺激するものでした。
 会場の人はみんな読みたくなったと思う。私はとても読みたくなりました。
 
 
 
(内容と関係ない感想)
 
 まんがが学問に接近していくにあたって、美術、文学、哲学などのやり方を取り入れて学問化していく当然予想できたこと。ただそれだけでは、産業や国際的あれこれなども包括して扱うことはできないので、そのうちアジア学みたいに各研究者はそれぞれの手法でやっていって、全体をウォッチする係みたいな研究者が出てくるか、学会なりなんなりで全体を示していくようになるのではないかと思いました。ただ、そのころの「まんが」は私の知っているまんがではなくなっているかもしれませんが。
 
 
 
 

*1:「マンガ批評大系」が近所の図書館にあったのはウソ記憶で、読んだのはもっと後かもしれない」と思って検索したら、かつて通った図書館にまだ所蔵されていました。書庫行になってた。

*2:そもそも私は研究者ではない。こういうところが研究者と一般人の道の分かれ目なのです。

吾妻ひでおさんと賞

 吾妻ひでおさんについての報道で賞についていろいろブレがあるので、私のわかる範囲での一覧を作成します。とはいえ、海外はよくわからず。参考にしたサイトを紹介しますので、私の記事はあまり信用せず、必要な方はリンク先をご参考になさってください。
 
  

 
不条理日記
 
対象単行本の刊行年:1979年
 
1979年 
第18回日本SF大会 星雲賞 コミック部門
http://www.sf-fan.gr.jp/awards/list.html
 

 

 
失踪日記
 
対象単行本の刊行年:2005年、2007年、2008年、2019年
 
2005年 
第34回 日本漫画家協会賞 大賞
https://www.nihonmangakakyokai.or.jp/?tbl=award&id=186
 
2005年 
第9回 文化庁メディア芸術祭マンガ部門 大賞
http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2005/manga/
 
2006年 
第10回 手塚治虫文化賞 マンガ大賞
https://www.asahi.com/corporate/award/tezuka/12125639
 
2006年 
第45回日本SF大会 星雲賞 ノンフィクション部門
http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2006.html
 
2008年 
(フランス)
第36回 アングレーム国際漫画祭 ノミネート
https://fr.wikipedia.org/wiki/Journal_d%27une_disparition
https://web.archive.org/web/20081120142937/http://www.bdangouleme.com/22-selection-2008-official-selection
 
2009年 
アメリカ)
イグナッツ賞 Outstanding Story ノミネート
https://www.smallpressexpo.com/2009-ignatz-award-recipients
 
2019年 
(イタリア)
Gran Guinigi award  Riscoperta di un'opera
http://www.afnews.info/wordpress/2019/10/11/lucca-2019-hideo-azuma-fumettibrutti-e-zuzu-e-laudace-vincono-i-gran-guinigi/
https://www.luccacomicsandgames.com/it/2019/comics/premi-concorsi-tornei/premio-gran-guinigi/i-gran-guinigi/
 

 

 
「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお -美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」
 
対象単行本の刊行年:2011年
 
2012年 
第37回日本SF大会 星雲賞 ノンフィクション部門
http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2012result.html
 


不条理日記 SFギャグ傑作集

不条理日記 SFギャグ傑作集

不条理日記 完全版

不条理日記 完全版

 
 
失踪日記

失踪日記

www.amazon.fr
www.kana.fr
Disappearance Diary

Disappearance Diary

www.amazon.it
 
 
 「失踪日記」海外版は上記フランス語版、英語版、イタリア語版の他にスペイン語版(2006年)、ドイツ語版(2007年)、ポーランド語版(2012年)があります。
 
www.amazon.es
Dziennik z zaginiecia

Dziennik z zaginiecia


 

 
 

吾妻ひでおさん訃報報道いくつか

 この記事は吾妻ひでおさんの訃報報道の紹介というか見ての感想というかの記事です。ツイッター検索でみつけたものです。つまり、ツイートしていない新聞等はありません。
  

・前提
・私の偏見によるおさえるべき新聞
・最初のほうの海外の報道

 
 の、3本立でお送りします。
 
 私が反射的に思ってしまった荒っぽい感想が含まれます。途中までしか読んでいない記事、そもそも読めない(機械翻訳)記事であり、チラッと見ての反射的な反応以上のものではないというのはわかってお読みいただけると幸いです。
 
 興味のある方だけ続きをどうぞ。
 
 
 

続きを読む

吾妻ひでおさんと私

 吾妻先生が亡くなられた。かなしい。
 
 私はよい読者とはいえないが、米ト時代に展示を開催した関係で何度かお目にかかった。『失踪日記』から数年経っていたとはいえ、吾妻先生と親しくされている協力者のみなさま方も日常的に連絡をとりあっている訳ではない。どういう様子なのかわからないまま珈琲館へ皆で行った。
 
 「展示OKだったとしても先生は何もしないかもしれない」ということも想定して、最初の打合せがあった。「借用と返却以外あとはこちらで、でもいい」というところまで想定していたわれわれだったけれど、吾妻先生は思っていたよりお元気だった。寡黙な方なので話が弾むという雰囲気ではなかったけれど、それも想定済。話はトントンと進み、展示開催OK。断られると思っていたトークイベントもあっさりOK。サイン会までしてくださった。日記まんがでサイン会の日を描いたものがあって、「抽選で30人にしました」みたいなことを言っているのが私です(髪型がぜんぜんちがいますけれど)。似てなくてもとてもうれしかった。
 第2期初日に地震があったけれど、とにかく全会期無事終了した。吾妻先生の調子もよかったらしく、すべての期の展示にいらしてくださった。
 
 
 個人的には、吾妻先生というより吾妻先生の身近な人たちが私にとっても身近な存在だった。
 退職してからも、吾妻先生の話題が出ることは日常だった。とはいえ、しょっちゅう会える訳ではないので、集まったら誰が一番最近に会ったか、電話したかを言いあって、最新の情報を持っている人から話をきくというカンジ。
 最後にお会いしたのは2016年7月。単行本収録の対談の立ち合いの時になる。その時は病気がわかる前で、特にかわったふうでもなく。淡々とお仕事されて帰ってゆかれた。
 

 
 その後、病気を公表された。このころからしばらくはみな連絡とれなくて様子がわからなくて、とにかく心配だった。病気で調子がよくないといっても、「よくない」にもいろいろある。すこしでもラクな日が多いといいと願うくらいしかできなかった。
 病気が病気なので治ることはないと思いつつも、またお会いして、皆とおしゃべりしているところやタバコを吸っている姿を見ることくらいはできると思っていた。
 
 そして今日になった。ほんとうにただただかなしい。
 
 吾妻先生はいつもファンの方々に囲まれていて、私は見ているだけのことが多かった。1度だけ私から積極的に話しかけて個人的に知りたかったことを尋ねた。5月3日のイベントの後のこと。よねやんと吾妻先生の出会いについて。よねやんがいなくなってしまったので、これだけはお尋ねしたかった。
 
 

 
 自分がメインではない展示だけど、何ができるのか考えてのた魚のぬいぐるみを作って、会場受付に置きました。最後に試作含めたのた魚集合写真を撮りました。過去にアップしたものと同じですけれど、写真を載せます。大きいのは展示が終わった後、ほしいという人にあげた。小さいのもいくつか手放したので、全部はもういない。
 
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米沢嘉博記念図書館吾妻ひでお展 関連リンク集
吾妻ひでお展について説明すると長くなるのでブログ内にリンク集を作りました。)
http://mtblanc.hatenablog.com/entry/20191021/1571658409

 
 サイン会の時の様子がわかる写真を森川さんがアップしていたので追加します。

米沢嘉博記念図書館の吾妻ひでお展 関連リンク集

 2010年度(2011年2月4日~5月29日)開催の吾妻ひでお展について知りたい方のためのリンク集です。
 このページ自体には情報はありません。
  
 



 展示のサイト
 

 
吾妻ひでお公式ウェブサイト
http://azumahideo.sitemix.jp/
 
 
米沢嘉博記念図書館吾妻ひでお展_2010年度
https://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-azuma.html

吾妻ひでおマニアックス」「吾妻ひでお美少女実験室」と銘打って2会場で開催。
 
 
展示togetter
 
吾妻ひでお展(201106~)
https://togetter.com/li/151377
吾妻ひでお展(201105)
https://togetter.com/li/130165
吾妻ひでお展(201104)
https://togetter.com/li/118432
吾妻ひでお展(201103)
https://togetter.com/li/107540
吾妻ひでお展(~201102)
https://togetter.com/li/104174
 
 
KAWADE夢ムック「総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」
図録が出せませんので、かわりに出されたムックです。現在「品切・重版未定」のようです。

 
  

 当時の他の記事
 

  
倉田わたるのミクロコスモス
http://www.kurata-wataru.com/
 
吾妻ひでお 著作リスト」がある他、当時の日記に観覧の感想があります。
 
 
吾妻ひでお作品のあらすじ
http://azumahideosakuhin3arasuji.web.fc2.com/index.html
吾妻ひでお作品のあらすじ2
http://azumahideosakuhin3arasuji.web.fc2.com/homepage2015/index.html

 現在「2」へ移転作業中ですが、展示については旧サイトのみです。下記項目にたいへん詳しいレポートがあります。
 
99 (展覧会など)
http://azumahideosakuhin3arasuji.web.fc2.com/99exhibitions.html
 
 
 



 当時、私が書いた記事
 

 
 職務上のことは書けませんので、のた魚ぬいぐるみについてです。
 
のた魚の作り方
http://mtblanc.hatenablog.com/entry/20110525/p1
 
のた魚
http://mtblanc.hatenablog.com/entry/20110523/p1
 
 
 
 
 
 

川崎市市民ミュージアムと私(+ツイッターまとめ)

 川崎市市民ミュージアムの個人的な話題です。私は川ミと略します。*1

 台風19号によって車寄せ(というのが正しいかよくわからないけど)前のスロープに水が溜まり、収蔵庫がどうなっているのか不安視されていました。今日、内部に人が入った記事が出て、収蔵庫内の写真もアップされました。
 
川崎市民ミュージアム、収蔵庫すべて浸水 漫画など所蔵(朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASMBL6H24MBLULOB026.html
www.asahi.com
 
 最悪、泥水が天井まで行ってるんじゃないかと思っていたのですが、写真を見る範囲ではそこまでではないようです。ただ、鉄の扉がひしゃげ、「九つの収蔵庫全てに浸水が認められ」と書かれ、収蔵品が散乱しているのを見るとインパクトが強すぎて暗い気持になります。水に強い収蔵品*2はなんとかなるような気がします。とはいえ、コレクションの軸をなすのは複製芸術です。フィルムあり、写真あり、ポスターを含む版画あり。紙が多いです。そしてここに来るような方が最も関心があるであろうまんがも収蔵品の軸です。まんがも、まんがの原画類も紙です。

 収蔵庫の様子がわかるまでは黙っておこうという人が多かったのか、今晩は川ミのことをツイートする人がたくさんいらした。わざわざ言うほどのことではないのであまりしゃべったことはないけれど、やはり私も「川ミと私」を語りたくなったので書きます。
 
 私は川ミにとって何者かというと、まず元川崎市民です。開館当時から20周年すぎたあたりまでは川崎市民でした。30年以上川崎に住んでいました。川崎出身の家系ではありませんが、血縁者のうちの何人かは今も川崎市民です。いとこのうちのふたりは岡本かの子の実家・岡本医院で生まれています。
 基本、市民(元市民)の来館者以上のつながりはないのですが、四半世紀以上前に学芸員実習で川ミに行っていました。四半世紀前の川ミの建物内部、どういう企画をしてきたかはある程度は知っています。また博物館が何かということも少しは知っているつもりです。まんが関係ではデータ調査、展示品貸出しでお手伝いしたことも。
 実習では郷土の学芸員の方にお世話になりました。漫画史研究会に出るようになってからは川ミ勤務、関係されている方々にとてもお世話になりました。こういうふうに館に関係する方に長年お世話になったのです。
 こうした経緯から私にとってとても身近な存在です。
 
 中に入れるようになったとはいえ、まだ停電中で、外野には何もわからない状態です。中の人もどの資料がどうなのかまではわからない段階だと思います。
 とにかく1つでも多くの収蔵品が無事であること、救出されることを願いつつ、次の情報を待ちます。
 



 関連する記事の紹介、写真つきツイートの埋め込みでまとめます。
 

 
 
 たたみます。

*1:「川ミ」は口で言わないこともないけれど基本書き言葉と思います。口頭ではトップ「市民ミュージアム」、次点「ミュージアム」と感じています。「ミュージアム」は会話の流れでわかるとき限定。市が2つが正式表記ですが、「地名+略称」という使い方はありますので、「川崎+市民ミュージアム」という略称として許容してよいと思います。

*2:川ミは移動していなければ濱田庄司コレクションがあります。郷土・民俗資料には土器なども。

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