はじめに

 現在、大阪・吹田市にある大阪府立国際児童文学館の存続が危機に直面しています。

 私がこのニュースをはじめて聞いた時、「もったいない」と思いました。
 大阪には全国唯一の児童文学科を擁する梅花女子大学があり*1、日本児童文学学会*2・絵本学会といった大きな児童文学学会の事務局があり、国際児童文学館があるんですよ? と、いうことは、「日本の児童文学研究の中心地である」と胸を張って言えるのです。その、30年かけて少しずつ築いた地位を手放すなんて、もったいないとしかいいようがありません。でも国際児童文学館がなければ、その主張の根拠がおおはばに弱くなってしまいます。

 この文章は、大阪府立国際児童文学館(以下、児文)がいかに重要な施設なのかを説明するものです。反対意見を述べるのが第一の目的の文章ではなく、存続を考えていく議論をしていくにあたって知っておいていだきたい最低限のことを書きました。私は存続運動に賛成の立場にはいますが、この意見につきましてはわかりやすく重要なものがすでに書かれているのでここでは書きません。私が第一に知っていただきたいのは、児文がどういう施設なのかということです。

 書く際には、多くの資料を参考にしました。そうした資料は適宜引用し、最後にまとめてリストアップもしていますので、この問題を考える際は、ぜひそちらも参考にしていただきたいと思います。*3


【内容】
1.文学館とは  〜なぜ図書館ではいけないのか〜
2.大阪府立国際児童文学館とは 〜他の施設とのちがい〜
  2−1.設立の経緯と活動
  2−2.利用状況
  2−3.所蔵資料について


*1:"唯一"は実際にサイトに書かれているのでそのまま使いました。他に研究しているところががないという意味でなく、それだけの自負をもって名乗っているというところを重視ということで。

*2:日本児童文学学会は、日本学術会議協力学術研究団体として登録された日本で唯一の児童文学・児童文化の研究者団体。

*3:新たな資料や私の認識まちがいが判明した場合は適宜追加するようにしたいと思います。