https://www.bunkasha.co.jp/book/b512202.html
下記記事のつづきです。ちょっと確認しないと書けないもの、後から気づいたことなど。
とりとめもないメモです。
http://mtblanc.hatenablog.com/entry/20200615/1592214105
- 前記事訂正
ツイッターでも前記事でも下記のように書きましたが。
https://twitter.com/mtblanc_a/status/1272400068876759040
正直、ここのサークル、知らない人ばかりと思っていたのですが、今回の本を読んでどういうメンバーだったのか理解。「スクランブル残党」なのでその前に「スクランブル」があったのか?と思っていたけれど、そうではなかった(私が調べもせずその程度のゆるさで眺めていたということです)。
— 白峰彩子 (@mtblanc_a) 2020年6月15日
「スクランブル残党」の前に「スクランブル」があったとのことです。識者の方々に教えていただきました。作中、描かれていない部分のこととはいえ、調べもせず大変失礼いたしました。
また、「まんだらけZENBU 75号」にこの辺のことが扱われているとのことです。興味のある方はあたってみてください。
https://twitter.com/mandarake_hon/status/1274187332069908480
まんだらけZENBU75号では何と12ページにわたって内田善美特集があります。
— まんだらけ本店 (@mandarake_hon) 2020年6月20日
松苗あけみが参加していた同人サークルスクランブル残党でのイラストや全プレ、付録、販売品などのグッズや星リデルの単行本とぶーけの比較などとても資料性が高いです。https://t.co/TmQeOtUlOIまんだらけゼンブ&deviceId=1 pic.twitter.com/QNiAyY0Twu
- 伏字について
作中で固有名詞・人名等をアルファベットや他の言い方で表しているものがチラホラあります。
(1)個人的な交友範囲(家族、学生時代の交友範囲)
(2)会社
(3)編集者
(4)まんが家(+作品名)
……にだいたいわけられると思います。
(1)は、一読者には知る手段はもなく、追及してもまんがファン的にあまり意味がないというか、というところだと思います。
(2)は、「ぶ~け」を出している「S」、「S学館」「講D社」が該当。こちらは伏せてあっても読者は実名がわかると思います。出版社名を気にしないで読むタイプの人は実名を頭に浮かべることなく読み進めるかもしれませんが、それはそれで。
(3)について。「ぶ~け」の編集長Sさんは、おくづけに名前がありますし(創刊号では似顔絵も!)、ちょっと検索すれば出てきます。それ以外の方も、当時、熱心な読者だったら割と推察できるのではないかと思います。
私は表紙のデザイナーさんがわかりませんでした。製版はクレジットあるけれど、デザイナーさんはないのです。資料をつぶせば出てくるかもしれないけれど、本誌を普通に読んでいるだけではわからないです。
(4)は伏字にされている以上、状況証拠しかありません。ヒントはあります。とはいえ、実名がわからないようなフェイクをいれたり、実際とかけ離れた描写がされている訳ではない(本格的に隠そうとされている訳ではなさそう)ので、「わかった人がネットで言うくらいはよいのではないか」と考えています。記事ではとりあげませんが、検索するとわかる伏字もあります。
私がこの記事で書いたものは「推測」ですので、間違っている可能性がありますことを御承知いただいてお読みください(根拠は可能な範囲で書いてあります)。
- アシスタント作品
一条→S→Y という順番。
一条さんは「こいきな奴ら ACT3 危険がいっぱい」と思われます(前記事参照)。
p.43~44にかけて描いているSさん原稿は「真貴子 part2」(ささやななえ)と思われます(ebookjapan電子版97コマ目)。作品中の原稿では1コマ目、2コマ目、両方とも左右反転させた構図になっていますが、髪のカンジからしてほぼこれかと思います。
ただし、「真貴子 part2」は教室のシーンが複数あり、p.45「S先生の作品では教室が出てこなかった」には合致しません(とはいえ、教室のシーンでも机はほぼ描かれていない)。
また、ささやななえ『遠くにありて…』(角川書店)に登場する仕事場に描かれた机、こたつの配置も同じ。
アップ後にもらったサインに「1975.12(日付は読めない)」と書かれており、1976年3月号の原稿としては進行が早いような気がするけれど、年末進行だとこんなものでしょうか。
Yさんは「メタモルフォシス伝」第2回(山岸凉子)と推察される。こちらも描いた砂漠が実際のコマと合致しませんが、「1976年」「学園もの」「砂漠」「菜の花」が合致する作品が他にあるとは思えないため。「新連載の1回め」(p.45)と書かれていますので、ちがう作品の可能性はゼロではありません。
- アシスト時期
「こいきな奴ら ACT3 危険がいっぱい」(一条ゆかり)
「りぼん」1976年2月号(1月3日発売)
↓
「真貴子 part2」(ささやななえ)
「プリンセス」1976年3月号(2月6日発売(推定))
↓
「メタモルフォシス伝」第2回(山岸凉子)
「花とゆめ」1976年11号6月5日号(5月20日発売(推定))
という順番で登場(作家・作品名は推定)。
SさんYさんのところに立て続けに入ったように描写されていますが、実際にはすこし間をおいて入ったものと思われます。p.46の友人が(スプリングコートではなさそうな)コートを着ていたりします。ここはSさんYさんのエピソードを1話としてまとめるために生じたフィクションと考えます。すでに指摘されているとおり、ある程度エピソードをまとめるため(と思われる)、時期は操作されている場合があります。
- その他
・単行本『マジックラブ・チャイルド』
p.84「なんと結局1回も重版かからず!!」とありますが、ネット検索によると少なくとも3刷まで存在します。ただし、重版がかかったのは「純情クレイジーフルーツ」開始後なので、その前の焦燥感の描写としては正しいといえます。
・部数
『マジックラブ・チャイルド』、初版2.5万部、重版に必要な注文数が3千(p.84)。
「ぶ~け」が「20万部くらい」(p.106)。しかも「20万部くらい」で「『ぶ~け』のような小さな雑誌」と書かれています。
今となっては夢のような数字ですが、「りぼん」200万部、「別冊マーガレット」180万部の時代なので集英社内では地味な数字だったのだと思います。集英社の少女まんが雑誌は1980年代に最高部数を記録しているところが多い印象があります。
この時点で「ぶ~け」は、創刊時の約半分の部数です。創刊号は多く刷るもので、創刊からしばらく減るのはよくあることではあります。とはいえ、部数をのばす雑誌もある訳で。それだけ期待されていた「ぶ~け」が、のびなかったことも「小さな雑誌」とみなされていた要因と思います。
・チャー坊
講D社漫画賞にノミネートの知らせを受けた時にかかえている猫さんです(p.115)。
「ぶ~けせれくしょん」No.2によるとのがみチャン太さんの末裔とのこと。チャン太さんは長毛種ですので、どこかで短毛種が入っています。
p.121以降お住まいの家と猫さんたちがどういう変遷をとげていったかはいくつかの単行本が発売されています。『猫と薔薇の日々』(ビーグリー)が一番長期間の話がまとまっていると思います。