吾妻先生が亡くなられた。かなしい。
私はよい読者とはいえないが、米ト時代に展示を開催した関係で何度かお目にかかった。『失踪日記』から数年経っていたとはいえ、吾妻先生と親しくされている協力者のみなさま方も日常的に連絡をとりあっている訳ではない。どういう様子なのかわからないまま珈琲館へ皆で行った。
「展示OKだったとしても先生は何もしないかもしれない」ということも想定して、最初の打合せがあった。「借用と返却以外あとはこちらで、でもいい」というところまで想定していたわれわれだったけれど、吾妻先生は思っていたよりお元気だった。寡黙な方なので話が弾むという雰囲気ではなかったけれど、それも想定済。話はトントンと進み、展示開催OK。断られると思っていたトークイベントもあっさりOK。サイン会までしてくださった。日記まんがでサイン会の日を描いたものがあって、「抽選で30人にしました」みたいなことを言っているのが私です(髪型がぜんぜんちがいますけれど)。似てなくてもとてもうれしかった。
第2期初日に地震があったけれど、とにかく全会期無事終了した。吾妻先生の調子もよかったらしく、すべての期の展示にいらしてくださった。
個人的には、吾妻先生というより吾妻先生の身近な人たちが私にとっても身近な存在だった。
退職してからも、吾妻先生の話題が出ることは日常だった。とはいえ、しょっちゅう会える訳ではないので、集まったら誰が一番最近に会ったか、電話したかを言いあって、最新の情報を持っている人から話をきくというカンジ。
最後にお会いしたのは2016年7月。単行本収録の対談の立ち合いの時になる。その時は病気がわかる前で、特にかわったふうでもなく。淡々とお仕事されて帰ってゆかれた。
- 作者: 吾妻ひでお
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その後、病気を公表された。このころからしばらくはみな連絡とれなくて様子がわからなくて、とにかく心配だった。病気で調子がよくないといっても、「よくない」にもいろいろある。すこしでもラクな日が多いといいと願うくらいしかできなかった。
病気が病気なので治ることはないと思いつつも、またお会いして、皆とおしゃべりしているところやタバコを吸っている姿を見ることくらいはできると思っていた。
そして今日になった。ほんとうにただただかなしい。
吾妻先生はいつもファンの方々に囲まれていて、私は見ているだけのことが多かった。1度だけ私から積極的に話しかけて個人的に知りたかったことを尋ねた。5月3日のイベントの後のこと。よねやんと吾妻先生の出会いについて。よねやんがいなくなってしまったので、これだけはお尋ねしたかった。
自分がメインではない展示だけど、何ができるのか考えてのた魚のぬいぐるみを作って、会場受付に置きました。最後に試作含めたのた魚集合写真を撮りました。過去にアップしたものと同じですけれど、写真を載せます。大きいのは展示が終わった後、ほしいという人にあげた。小さいのもいくつか手放したので、全部はもういない。
米沢嘉博記念図書館の吾妻ひでお展 関連リンク集
(吾妻ひでお展について説明すると長くなるのでブログ内にリンク集を作りました。)
http://mtblanc.hatenablog.com/entry/20191021/1571658409
サイン会の時の様子がわかる写真を森川さんがアップしていたので追加します。
吾妻ひでお先生には、明治大学における「吾妻ひでお美少女実験室」展および「吾妻ひでおマニアックス」展の開催や、「シベール」誌の成立についての取材などに際し、大変お世話になりました。取材でとりわけ印象深かったのは、おたくの人たちに対する先生の優しいまなざしでした。 pic.twitter.com/KpFsKpbujg
— 森川嘉一郎 (@kai_morikawa) October 21, 2019