すでに図書の家の掲示板でも告知されているとおり、私の大好きな山田えいじ先生の『ペスよおをふれ』が小学館クリエイティブから復刻されることになりました
版元サイトではまだ告知されていませんが、情報は解禁だそうなのでこちらでも紹介させていただきます。また別項目をたててペスについてはメモしていきたい思っています。
「ペスよおをふれ」は「なかよし」1957年8月号〜1959年12月号まで掲載された連載まんがです。今回の復刻は、A5版338ページの予定。2月中旬発売予定で定価は不明です。
単行本3冊分をまとめたものとのことで、見てみないとわからないけれどページ数からして従来の単行本からさらにダイジェストしたものかと思われます。
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で、この作品のどういうところが重要かというと。
・少女まんがとして空前の長編
3600頁におよぶ大長編なので、当時講談社で発行された8冊の単行本は、ダイジェスト版なのに全体の半分もいってません。
2年目は毎月150ページ連載というたぶん空前絶後の連載(貸本を毎月描きおろしている人から見ればフツーでしょうけど、月刊誌の連載としてはたぷん絶後と言ってしまっていいと思います)。
・当時の流行まんがであること
小学生対象の読書調査で男女共通で上位にランクイン(と、いう新聞の記事があるのです。どれだけ信用できるものかは不明。情報は寄せられているのでちゃんとした内容をそのうち調べてアップいたします)。
「なかよし」という一応メジャーなはずの幼女雑誌での看板であったことはまちがいないのに、現在ではとりあげられることが大変少なく、れっきとしたヒット作であることを忘れられがち。また私を含め、全体を通して読んでいる人が大変少ないのも、この作品の「忘れられ度」の高さを示していると思います(私が読んでいるのは単行本+以降のふろくなので、単行本で削られた箇所を読んでいません)。
・絵のクオリティの高さ
もともとハナシより絵の人なのです。特にカラー。
だいたいこんなところでしょうか。
どんな話かというのは『現代漫画博物館』に書いてあるとおりで、松本ユリという正しい少女がとにかく運命に翻弄され続ける内容です。ちなみに相棒の白い犬のペスは、スピッツに似ていますが犬種は明記されていません。スピッツもしくはコリーだと思われがちのようですが。
山田えいじという人は、もともと挿絵の仕事をしていて、それまでまんがはほとんど描いたことがありません。絵は今の目で見てもうまいです。特に女性の絵がいいです。最初は幼かったヒロインがどんどん頭身数がのびて、いいんだろうかというくらい色気が出てきます。後半の、ミニスカで体をひねったカラー絵とかすごいエロいです。女性の絵じゃなくてもカラーの気の入れ方もすごいのです。ふろく連載の時の表紙とか「まり姫かがみ」前半のカラーとかあたりとかが特に。
それなのに話づくりはもちろん、すれちがいにすれちがいが重なるというドラマの基本(「君の名は」とか)が激ウマ。ヒキがばつぐん。毎回「ど、とうなるんだー」と気になるところで終わります。
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と、いうことでご興味のある方はぜひよろしくお願いいたします。