同人誌のデザイン・装幀をについて扱った2冊の本を紹介します。
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 雑誌
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特集「漫画・アニメ・ライトノベルのデザインExtra」のなかの「コミックマーケット創成期と同人誌」 をめあてに購入。
ばるぼらさんが
http://twitter.com/#!/_bxjp_/status/89692416336076800
一ヵ月先の話ですがアイデア次号(8/10発売)の赤&ばの連載は1970年代同人誌を取り上げます。おおよそ米沢史観を解体する(補完する?)動きの一つとなるでしょう……
と、書かれていたので、どのへんが「解体する(補完する?)」なんだろーと興味深々だったのですが、協力者名を見ると割といつものメンバーだったので、ここについてはスカされました。肉筆とか貸本とか学漫とかコミケ以外の流れでスゴイものが出るのかなーと思っていたものですから。「楽書館」の「楽書館」前の同人誌がふんだんに出ているのがちがうくらい。
と、エラソーなことが書けるのも「コミックマーケットの源流」展が東西で行われた後だから言えるのですが。
「コミックマーケットの源流」展は、カタログがなかったのでこちらで図版がばんばん引用されたのはうれしかったです。しかし、キャプがけっこういい加減でした。*1判別つかないのであれば、オフセットかどうかの表示はやめたほうがよかったんじゃ……。
この中で最も貴重なのは式城さんのパート。コミケ創立のきっかけとなった漫大に意義を申し立てたIさんの名前が実名で出ています。これははじめてでは?
そしてなにより式城アルバムからの写真がスゴイです。この時代の同人誌イベントのカラー写真がこれだけあるのはめずらしいです。これだけでもこの号を買う価値があるかと思いました。
もう1冊が下記の本。
・「本フェチ!」(本フェチ倶楽部)
http://m-takekawa.sakura.ne.jp/
C80初売り。通販なども予定されているようです。
こちらの本は特殊装幀同人誌を紹介する同人誌です。サークル主宰は美しい印刷で有名な同人印刷屋の社長さん。
↑より内容をコピペ。
主な内容
【対談】村田蓮爾×星野リリィ
【特集】村田蓮爾の特殊装丁
【特集】星野リリィの特殊装丁
【一挙紹介】同人誌の特殊装丁本の紹介
【歴史】同人誌の歴史と社会の動き
分冊 特殊加工イラスト 仕様
【フィルムカラー×トランスタバック】CHOCO先生
【ドットプリント】城爪草先生
【スペシャリティーズ】高河ゆん先生
【フロッキー加工】藤枝雅先生
【全面金箔】蔵王大志先生×影木栄貴先生
【銀ラメ加工】西又葵先生
今、この手を本を出すのであればこれしかないという人選ではないでしょうか
星野リリィさんのインタビューで同人誌について触れられているものを読んだことがありましたが、ここまでキレイにこだわって紹介されたのを見るのははじめてで、楽しかったです。村田蓮爾さんのものは数冊、実物を見せていただいたことがあるだけで、まったく知識がなかったので新鮮でした。
「同人誌の特殊装丁本の紹介」は、高橋留美子本にはじまるところがいいです。これは内容・仕様のバランスのとれたものなので。基本的には大満足なのですが、少しだけ不満もあり。私としては最近のものがメインなのが残念です。バブル期のアホみたいな本が見たい〜。香りつきとかオルゴール本とか写真で見ても楽しくないでしょうが、紹介はしてほしかったなー。あと、印刷屋さんの本だからなのか?手作り本がとりあげられていないみたい? 工芸品の域に達している本とかあるのに。
この本のうれしいところは値段が会場価格で2000円と超良心的なところ。多少気になるところがあっても(人選については誰であっても不満はあるし)許してしまうレベル。これを見て「へー、こんなこともできるのか」と思って発注する人も出てくるのでは? 販促ツールにもなるのではないでしょうか(といってもこんな本ばかり出された日には請けるほうが大変……)。
「同人誌の歴史と社会の動き」のパートはまだきちんと読めてないので割愛。
この本、2冊組になっておりまして。
2冊目は特殊加工イラストの印刷見本にもなっているイラスト集。ふわふわぷにぷにきらきら〜な特殊加工に触れられます。
「アイデア」348号が1970年代の、「本フェチ!」が新しめのものを扱っています。あとは1980〜1990年代のものの紹介本が出たらいいのに。出ないかなー(他人頼み)。
約1週間後の追記:
見直してみたらオルゴール本は入ってました。あと、年表はけっこう荒っぽかったです。
*1:「いちゃもん」がオフセットとか。別の場所でも書きましたが「シベール」も2号初版まではコピー誌。オフセットになったのは2号再版分(8月発行)から。