湯田伸子さん

twitterで書くつもりでしたが、長くなったのでこちらにアップ。

 湯田伸子さんの訃報に言葉も出ない。

 ……といいつつ書くと湯田さんといえばまず「大島弓子のフォロワー」として名前があがる。単行本「グッドラック」あたりの絵だけ見るとたしかにそうだろう。しかし、その作品は大島さんとは別の個性があったと思う。

 湯田伸子さんを最も初期に知った人はおそらくお茶女漫研の会誌「ばるぼら」の読者だろう。現在の柴門さんと共に目立つ存在だった。当時同人作家をさかんに起用していたJUNEに描いたのは(当時の人脈からしても)ごく自然ななりゆきだっただろうと思う。

 ふたりとも描いた媒体としては「ギャルコミ」「ギャルズコミックDX」(主婦の友社)もある。柴門さんは「みんなでデイト」等イキのいい作品を描かれてましたが、その後青年誌に主軸を移されます。同誌は大島さんもたくさん描かれているので、湯田伸子さんといえばこちらからの印象が強い方も多かったかと。

 湯田伸子さんは正直絵がうまい作家さんではないと思うのですが、絵で敬遠するのはもったいない作家さんです。ぜひ読んでほしい。
 「雲雀」の抒情性、「相聞」の芥川のふまえ方のみごとさ。「時のオルフェ炎の道行」はSFとしても評価の高い代表作といっていい作品ですが、この作品を文字で説明するのはむずかしいです。読むとわかるんですが本当に「時のオルフェ」で「炎の道行」なんです。どの作品か忘れたけれど高校のパソコン愛好会?が出てくる作品はかなり早い実在PCの登場するまんがではないかと思います。

 私にとって湯田伸子さんの印象が強いのはBELNEさんもあげておられる「小説JUNE」のエッセイです。毎回のテーマの選択は知的。しかし内容は妄想まじりの愛のある読みやすいものでした。湯田さんはSFファンで読書家でミーハーでいろいろなものに対する愛のある方で、それがよいかたちで作品に消化されていた。そういう作家さんだと思う。

 最後にこれを書くきっかけとなった姪御さんのお知らせのつぶやきとBELNEさんのコメントを引用します(私のアカウントでRTしたものです)。